――かくして、幼き英雄は、長い旅路の最初の一歩を踏み出しました。
自分らしくあるため。生きる意味を探すため。 まだ何者でもない少年はひとり、草原を飛び出したのです。
その先に待ち受ける、たくさんの出会いと別れを、過酷な運命を、彼はまだ知りません。
かの第七霊災まであと十数年。 私もあと少しだけ、その顛末を見届けることといたしましょう――。