控えめオスラと花のうさぎ~新生編1

ミルラの回想

あの宴から一夜。気持ちいい眠りから目覚めると、日はすっかり高くなり、ウイキョー達はタイタン討伐へと出かけた後だった。
ボクは一度砂の家に戻ってからすぐに荷物を整え、ウルダハの剣術士ギルドへと向かった。一日でも早く、戦いの腕を上げて、ウイキョーや皆と力を合わせて世界を切り開きたい、そう思ったんだ。
ノラクシアがまた、退屈でふっち、連れて行くでふっち、とせがんできたけど、剣がもっと上手くなったら一緒に行こう、と説得して納得してもらった。
いつの間にかヒューランの女の子に変身できるようになっていたし、案外そうなる日も近いかもしれない。ああ、楽しみだなぁ。
そう思いながら剣術士ギルドへ到着したころ、ウイキョーから、タイタン討伐の連絡があった。少し疲れた様子だったけど、特に大きな怪我も無く終えられたみたい。報告のため、一旦砂の家に戻るらしいから、明日ボクも少し行ってこようかな、と思いつつ、ギルドで鍛錬をして一夜を明かす。

そして次の日の昼、鍛錬の最中にリンクパールが鳴った。ウイキョーからだ。どういう訳か、彼は開口一番、ボクの無事を確認し、今どこにいるかと尋ねてきた。ウルダハに、と告げると、少しホッとしたようにため息をついた。
「ウイキョー、今日は砂の家に報告に来るんだよね。だったらボクも」
「――なりません。砂の家には近づいてはいけません」
 強い口調でそう告げ、代わりに聖アダマ・ランダマ教会へ、出来ればギルドの先輩などを伴って向かうよう告げられ、そのまま通信を切られてしまった。
 ボクは戸惑いつつもギルドへ事情を告げ、送りの付き添いとチョコボポータ―の手配をしてもらいながら、慌てて出立の準備を始めたのだった。

――そう。事態が急転していることも知らずに。